集団的自衛権とは、同盟国が攻撃を受けた場合、自分の国が敵国から攻撃されていなくても、共同で武力行使により防衛することができる権利のことです。
これは国連憲章により認められている権利で、日本では憲法9条を理由に認められないという立場を取ってきましたが、最近これを認めようという流れに政府は進んでいます。
アメリカや同盟国との関係を強固にしようという狙いによるものですが、認められる要件やできるようになることとはどのようなものでしょうか。
2つの自衛権
まず、「自衛権」といっても「個別的自衛権」と「集団的自衛権」のふたつがあげられます。
「個別的自衛権」とは、他国から攻撃された場合に、自分自身の手で自国を守ることができる権利を言います。
個別的自衛権は独立国である以上、日本においても自衛のための必要最小限の行使は当然認められている権利です。
それに対して、「集団的自衛権」はこれまでの政府の解釈によれば、国際平和を実現するためにも「権利」としては持っているけれども、憲法9条によって戦争を放棄しているため、行使はできないという立場を取ってきました。
持っているけれども使えないという、外国の国々からしたらちょっとわかりづらい話になってしまうわけです。
そういった事情もあり、他国に対して日本の存在感を示すためにも集団的自衛権を容認する動きが強まり、憲法解釈の変更、法改正によって集団的自衛権の行使に向けて進みだす閣議決定が2014年7月になされました。
集団的自衛権が認められる3つの要件とは
集団的自衛権を認めるといっても無制限に認められるわけではありません。
政府は次の3つの要件を満たせば集団的自衛権が認められるとしています。
- 密接な関係にある他国が攻撃されることによって、我が国の存立を脅かす明白な危険があること
- 他に適当な手段がないこと
- 必要最小限度の実力行使にとどめること
これらが満たされることによって、邦人輸送中や攻撃を受けているのアメリカ艦の防護や国際的な機雷処理、アメリカに向けられて発射されたミサイルの迎撃などが可能となると説明しています。
集団的自衛権にデメリットはないのか
気を付けなければいけないことは、政府の解釈次第で戦争へと突き進んでしまったり、他国防衛といいながら歯止めが利かなくなり他国の戦争に参加せざるを得ない状況が生まれてしまう危険性があるということです。
また、戦闘に参加することで、報復を受ける可能性だってあります。
つまりは日本が戦争ができる国へとなってしまうことを意味します。
各社の世論調査によると政府・与党の議論の進め方に不満を持っている人が多いという結果が出ています。
日本の根幹に関わる問題で、国民にしっかりメリット・デメリットを説明しないで議論が進んでしまっているというのが多く聞かれる理由です。
まとめ
- 同盟国が攻撃された場合、自国も攻撃に参加できるという権利
- 現在の日本では憲法9条の関係で認められていない
- 政府・与党は集団的自衛権の行使容認に前向きな姿勢